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日本の水道水の安全性や危険性と海外との比較

水道水   1,109 Views

日本の水道水の安全性や危険性、そして海外の水道水と成分がどのように違うのかということに多くの方たちが興味を持っています。

日本の水道水は世界に誇るトップクラスの安全性と美味しさを持っています。

今回の記事では日本の水道水についてどこよりも詳しく調べたことをお伝えしています。

Contents

日本の水道水は安全か危険か

結論をお伝えしますと、日本の水は【飲料しすぐに体調を崩すリスクが限りなく0に近く、世界トップクラスの美味しさと安全性を持っている】ということです。

しかし、全くリスクがないわけではなく、原水から水道水として家庭に届くまでに距離・時間ともに長くなるためその過程におけるリスクはあります。

日本の水道水は衛生技術の進歩と発展を続けてきました。

伝染病のリスクを低減するためには清潔な水を,というコンセプトで作られた水道水は浄水過程で様々な薬剤が投与されています。

最近では,放射能水準や塩素消毒に伴う危険性,クリプトスポリジウムなどの原虫類も話題になっています。

これらについても今回の記事で詳しくお伝えしています。

なお、水道水の有害物質については【水道水の有害物質】に一覧がまとめられています。

日本の水道水と塩素消毒

塩素は第一次世界大戦で化学兵器として投入され一躍有名になりました。

現在,塩素は漂白・消毒性能が高く,トイレの漂白剤にも用いられているように身近な物質とも言えます。

水道水を作る過程で行われる塩素消毒は,水に含まれる細菌やウイルスを殺すために使用されています。

日本では蛇口から出た水も塩素消毒効果が続くよう,0.1(mg/l)以上の塩素が検出されること水道法で定められています。

塩素消毒された水を飲むことで直ちに死に至るような病は発生しませんが,肌や髪にダメージを与えること,濃度によっては高血圧・動脈硬化につながる危険性も指摘されています。

更に塩素消毒に伴う水道水の残留塩素はアトピーの主たる要因としても問題が指摘されています。

水道水の塩素消毒は人間を死に至らしめる細菌類,ウイルスを殺す一方で長期的に人間の健康に影響を与えていると言えるでしょう。

水道水の塩素については【水道水の塩素について、すべてを徹底的に調べました!】にて詳しくお伝えしています。

日本の水道水とトリハロメタン

トリハロメタンはメタン(CH4)の水素原子のうち3つの水素原子がハロゲン(塩素も含む)に置換した化合物の総称です。

水道水中には塩素消毒する際,トリハロメタンが副次的に作り出されています。

水道水には複数のトリハロメタンが含まれています。

具体的には,クロロホルム,ジブロモクロロメタン,ブロモジクロロメタン,ブロモホルムの4種で,4つあわせて総トリハロメタンと呼ばれています。

総トリハロメタンは水道法で0.1(mg/l)以下に保つことが義務付けられていて,各自治体ではこの基準値を下回っています。

クロロホルムとブロモジクロロメタンはコーヒーや漬物と同じ「発ガン性があるかもしれない物質」に分類されています。

トリハロメタンは発がん性が疑われている以上,摂取量は少ないほうが好ましく思います。しかし,有害性の確かでない部分があるため,現時点で危険視し過剰に対応する必要はないと考えます。

トリハロメタンについては【水道水のトリハロメタン関するすべて】にて詳しくお伝えしています。

日本の水道水と放射能

2011年の福島第一原発事故をうけ,東日本では河川や土壌の放射能汚染問題となりました。

原発事故で問題となった放射性物質といえばヨウ素とセシウムですが,ヨウ素は半減期が8日と短いことから,現在では水道水から検出されていません。

セシウム134の半減期は2年,セシウム137の半減期は30年と非常に長いことから,日本の水道水の放射能対策はセシウムを対象に行われている。

水道水のセシウム含有量は水道法で10(Bq/l)以下にするよう設定されて,この値はWHOの基準に準拠するものです。

水道事業者はゲルマニウム半導体検出器を用い,セシウム134およびセシウム137 それぞれについて検査しています。

この,ゲルマニウム半導体検出器の検出限界値は1(Bq/l)となっていて,検出限界値以下だと不検出となります。

一方で,原子力規制委員会の放射線モニタリング情報というサイトでは定期的に水道水(蛇口)の放射能検査を行っています。

原子力規制委員会の調査結果では平成286月時点で,岩手,宮城,山形,福島茨城,栃木,群馬,埼玉,千葉,東京,神奈川,新潟において,0.0010.00042(Bq/l)のセシウムが検出されています。

現在の水道水はセシウムが少量検出されるものの健康には影響のない範囲であると言えます。

放射性物質については【福島第一原発の放射能における東京の水道水への影響】にて詳しくお伝えしています。

日本の水道水とアメーバおよび原虫類

水道水で問題となっているアメーバおよび原虫類は,フォーラーネグレリア,アカントアメーバ,クリプトスポリジウムの3つが挙げられます。

それぞれについて危険性と対策を説明していきます。

フォーラーネグレリア

記憶に最も新しいのが2014年アメリカでの事件でしょう。殺人アメーバがルイジアナ州の水道水から検出されたという報道がありました。

フォーラーネグレリアは脳に入ると脳を溶かして栄養とし,これが原因で死に至る恐ろしいアメーバです。

フォーラーネグレリアは淡水を好み,温度が2035℃で繁殖しやすいと言われています。

口径摂取は特に問題なく,鼻から脳に入ると感染し死亡率95%を誇ります。

しかし,人体への感染は稀で塩素で消毒されている日本の水道水ではほぼ安全と見て間違いないです。

フォーラネグレリアは温度が20℃35℃の川や湖など消毒されていない淡水で遊ぶときには注意したいアメーバです。

アカントアメーバ

アカントアメーバ角膜炎は海外で1974年に初めて報告され,日本では1988年に報告されました。

近年のアカントアメーバ角膜炎の報告例は100件を超えており,この内コンタクトレンズ使用者は8割以上と,コンタクトレンズの使用と関係性が有ることがわかっています。

アカントアメーバは塩素消毒に対して強い抗体を持っており,塩素消毒後も水道水内に存在しています。

アカントアメーバを飲料する分には人間の免疫システムで対応できるため無害です。また,日本の水道水は塩素消毒されているため,目を洗浄しても発症しない量のアカントアメーバしか存在していません。

しかし,コンタクトレンズの洗浄に水道水を使用し,時間が経過すると,水道水内の塩素濃度が下がり細菌が増殖します。アカントアメーバもその最近を食べ,増殖します。

この結果,アカントアメーバが大量に付着したコントタクトが完成し,これを装着するコトでアカントアメーバ角膜炎になる可能性が高まります。

アカントアメーバ角膜炎の治療は症例が少ないことから設備が整っている病院が少なく困難です。

正しい方法でコンタクトを洗浄することで予防できるので,しっかりと対策を行いましょう。

クリプトスポリジウム

塩素消毒に耐性を持っているクリプトスポリジウムは,所謂食中毒を起こすO157などと同じような症状(クリプトスポリジウム症)を起こします。

史上最大の感染例は1993年のアメリカウィスコンシン州で発生したもので,160万人注40.3万人が発症し,数百人が死亡しました。

日本でも,クリプトスポリジウムによる感染は1994年に神奈川県,1996年に埼玉県などで発生した事例が報告されています。

こうした背景から,日本では1996年に水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針,2007年に水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針が打ち出されました。

具体的な日本国内のクリプトスポリジウム症対策としては,原水の汚染調査,浄水施設に濾過などの設備の整備,浄水施設での紫外線処理などが挙げられます。

こういった対策もあり,日本国内においては水道水によるクリプトスポリジウム症の感染例は報告されておらず,現在では安全であるといえます。

日本の水道水が作られるまで

水道水が蛇口を捻って出てくるまでには,水源側から順に貯水,取水,導水,浄水,送水,配水,給水といった役割を担う施設があります。

貯水は例えばダムとダム湖がその役割を担っています。その名の通り,飲料や生活用水に使われる水を蓄えておく施設です。

貯水されている水の品質は水道水の水質にも直接影響します。一般には,貯水されている水の汚染度が高いとその水道水も美味しくないと言われています。

取水はダムや川の途中に水を取り込む取水口より水を取り出すことを指します。取り込んだ水は沈砂池を通過した後導水施設を通って原水を浄水場に送ります。

導水は水を送るポンプ設備と導水管とで構成され,浄水場につながっています。

浄水はろ過池などにより水を浄化,すなわち飲料可能な状態にします。皆さんがよく気にされている塩素消毒も浄水の段階で実施されています。

更に濾過された水は塩素で消毒され浄水池に貯められ,送水ポンプによってこの水を家庭や工場,配水池に送水されます。

ここで管理の話をすると,取水から給水手前までの配水管までが,水道事業体が管理しています。

この配水管から分かれて、各家庭まで引き込まれた給水管,分水栓,止水栓,メータおよび蛇口などのいわゆる給水装置,アパートや高層ビルなどは分水栓から受水槽のボールタップは個人の管理になります。

水道水になるまでの各処理の仕組み

水源

東京都水道局のホームページによると,日本の水道水の水源は

表流水 74.1%(河川水25.5%,ダム湖水47.5%,湖沼水1.4%)

伏流水 3.6

地下水 19.3%(浅井戸水6.7%,深井戸水12.6%)

④その他 

となっています。

の表流水は河川やダム湖、湖沼などの表面を流れる水を指します。

水量的に豊富で安定した取水が可能なことから日本の水道水として最も利用されています。

しかし,外気温の変化により水温が上下する,大雨による原水が濁るなど外的影響を受けやすいのが特徴です。更に,上流域に人が生活していると水質が汚染されやすいという欠点を持っています。

の伏流水とは、河川水等の地表水が周辺の砂層などの中に浸透して流れる水のことをいいます。

川床の砂利層が天然のろ過システムとなり,地表水と比べて濁りや不純物が少なく,基本的には塩素消毒するだけで飲料が可能となります。

地震や土砂崩れの影響により濁ることもありますが,水量の確保が難しいのが一番の欠点とも言えます。

の地下水は地表面の下を流れている水で,具体的には井戸水を指します。

一般的に水を通しにくい層より上の深さが10~30m程度の比較的浅い地下水を浅井戸水,水を通しにくい層より下の地下水を深井戸水といいます。

浅井戸は低コストで掘れる反面,水温や水質が一定になりにくいという欠点を持っています。

一方深井戸は,高コストですが温度も一定で比較的汚染の少なく,濁りの少ない水が得られます。

表流水や伏流水などの河川水に比べて水質・水温の安定した良質な水ですが、土壌から溶け出した成分によっては、塩分や硬度(カルシウム・マグネシウム等)が高くなることもあります。

井戸水を過剰に取水すると地盤沈下の原因となります。また,地下水は一度汚染されると回復は困難といえます。

自分の住む地域における水道水がどの水源を用いているのかは市のホームページなどで簡単に調べられます。

日本の浄水施設

浄水場は水を浄化し塩素消毒する施設です。

急速ろ過タイプ,緩速ろ過タイプの他,膜ろ過,消毒のみなど水源の水質に応じて幾つかの方式にわけられます。

浄水量が多い順番にそれぞれのタイプを見ていきましょう。

最も浄水量が多いのが急速ろ過タイプ

最も浄水量が多いのが急速ろ過タイプによるもので,79.2%を占めています。

急速ろ過はアメリカで最初に導入され,戦後日本に広まっていった浄水方法です。

浄水場における水の流れは,取水着水井混和池フロック形成池沈殿池ろ過池塩素注入設備配水池配水管となっています。

急速ろ過の特徴は混和池,フロック形成池,沈殿池にあります。

急速ろ過では最初に混和池でPAC(ポリ塩化アルミニウム)と呼ばれる凝集剤を混ぜます。次に,フロック形成池で全体をかき混ぜ土砂や濁りを塊(フロック)にし,沈殿池でフロックを沈めます。

沈殿池の上澄みの水だけをろ過池で濾過し,塩素注入します。沈めたフロックはあとで取り除き埋め立てられます。

急速ろ過はその名の通り,単位時間あたりに浄水可能な水量が多く,浄水場の面積も小さくできるという利点を持っています。

クリプトスポリジウムなどの原虫類が取り除けないこと薬品を多く使用する上工程が複雑なことから水道水を作るのにコストが高いという欠点があります。

2番目に多い消毒のみの浄水方法

次に浄水量が多いのは,意外にも消毒のみの浄水方法で15.1%を占めます。

浄水場における水の流れは,取水着水井塩素注入設備配水池配水管と,とても簡略化されています。

水質が良好な地下水を水源とする場合には塩素のみの消毒で飲料可能となります。

水源の水質が良いほうが水道水の味も良いと言われているので,この浄水方法で作られた水道水はおいしい水と言われています。

3番目に浄水量が多いのは緩速ろ過による浄水方法

3番目に浄水量が多いのは緩速ろ過による浄水方法で,全体の4.1%を占めます。

緩速ろ過はイギリスで開発され,明治時代に日本に導入された浄水方法です。

浄水場における水の流れは,取水着水井緩速ろ過池塩素注入設備配水池配水管となっており,急速ろ過と異なりPACの注入はありません。

緩速ろ過は基本的には砂や砂利による砂ろ過で,砂層の上層数ミリのところに微生物の倍をフィルムが形成され水を浄化するのが特徴です。

微生物によって異物が除去された水は塩素消毒され配水されます。

管理や維持費がやすいという利点を持ちますが,急速ろ過に比べ処理速度が8倍かかり施設面積も多く必要とする欠点を持ちます。

近年,緩速ろ過を用いればクリプトスポリジウムなどの原虫類は除去できることがわかっておりその技術が見直されています。

日本では戦前作られた緩速ろ過の浄水場が多い中,島根県雲南市に2011年新しい緩速ろ過をもつ浄水場が作られました。

最も浄水量が少ない膜ろ過装置

最も浄水量が少ないのが膜ろ過装置による浄水方法で,全体の1.5%を占めます。

膜ろ過は簡単に言えば網目の微細なザルに水を通し,微生物や濁りを取り除く手法です。

膜処理技術は1960年台以降に開発が進み,1980年台から普及が始まった所謂水処理の最新技術になります。

濾過膜は濾過対象によって精密ろ過膜(MF膜),限外濾過膜(UF膜)などに分類されます。

膜の大きさはMF膜>UF膜になっていて,取り除きたい物質の大きさで使い分けがされています。

濾過膜は水の濁りである懸濁物質の除去に高い性能を示し,クリプトスポリジウムや細菌などの除去に高い信頼性を示します。

また施設は省設置スペース・省設置工期な上,自動運転が可能で維持管理が用意という特徴を持っています。

新材料も次々登場しており次世代の水処理システムと言ったところでしょうか。

以上,浄水施設について説明しました。浄水は水の美味しさとも関係があります。

なお、日本の美味しい水道水に関する情報は【おいしい水道水についてと、どこの水道水がおいしいのかを徹底調査しました!】にて詳しくお伝えしています。

日本の配水施設

配水施設は配水池と配水管とから構成されています。まず,配水池について説明します。

配水池は浄水場から送られた浄水を一時的に貯蔵し需要に応じて流出制御する施設の総称です。

水の需要は,深夜は少なく朝と夕方にピークが発生する特徴をもっています。

浄水場は水の処理量を変えると非効率になるため,配水池の貯水量の調整により水の需要に対応しています。

配水池は【池】とついていますが,見た目はコンクリートでできた建物です。水を蓄えておく施設のため,汚染が防げるよう水密性が高く耐久性,耐震性に優れています。

配水池の水は基本的には塩素消毒されているため,藻やカビが発生することはありませんがしかし,時間が経つと砂や微生物などが堆積し汚れがたまります。

そのため配水池は水中ロボットなどにより定期的に清掃されています。

配水池は常に清潔にし,水の汚染を防ぐよう水道法で義務付けられていますが,具体的に清掃の期間は決められていません。

配水管は配水池から給水装置まで浄水を運ぶ管をさします。配水管は原則網状に敷設されていて,これにより水の滞留を防いでいます。

経年劣化によりサビなどの汚れがたまるため,定期的に清掃したり,古いものは新設・更新したりしています。

配水管のサビによる赤錆は沿線で同時に発生するのが特徴です。自治体に問い合わせると対応してくれます。

日本の給水装置

配水池からポンプなどにより配水された水は,給水装置により各戸配水されます。

給水装置とは水道法において「需要者に水を供給するために水道事業者の施設 、配水管から分岐して設けられた給水管及びこれに直結した給水用具」をさします。

給水装置が破損したり不具合がある場合には,基本的には需要者(マンションのオーナーや個別住宅の場合は自分自身)が専門業者に修理を依頼する必要があります。

集合住宅や高層ビルでは一旦水をためておく受水槽が設置されています。受水槽には色々と課題も多いです。

様子がおかしい場合は建物の管理者に問い合わせてみましょう。

なお、受水槽の問題と対策については【マンションの水道水をよく知ろう!】をお読みいただけると理解が深まります。

水道水に関する法律

水道水に関する法律というと1957年に制定された水道法になります。

水道法は水質基準,水道事業の認可基準,水道事業者の給水義務,水道の種類,罰則など規定された法律です。

ここでは水道法の中でも水道利用者に関係する水質基準項目と基準値(51項目),水質管理目標設定項目と目標値(26項目),要検討項目と目標値(47項目)について説明していきます。

なお,水質基準項目はWHOの見直しもあって,日本でも平成15年に大幅な見直しがされています。

その後も常に最新の科学的知見に照らし合わせて改正し続けています。

水質基準項目と基準値(51項目)

水質基準は健康関連31項目と生活上支障関連20項目とにわけられます。前者はおもに重金属や大腸菌,後者は水の濁度やpHになります。

水道事業者は水質基準項目を検査し,この基準を満たしていない水道水は供給できないことになっています。

平成27年にはジクロロ酢酸,トリクロロ酢酸の水質基準を強化したり,毎年その基準を厳しく見直しされています。

51項目の詳しい解説は【日本の水道水の水質基準】にあるので,ぜひ参照して下さい。

水質管理目標設定項目(26項目)

水質管理目標設定項目は水道管理上で留意して行く必要があるものです。

水道業者には水質基準に係る検査などに準じた検査を要請しています。

平成26年4月1日より,亜硝酸態窒素は水質管理目標設定項目から水質基準項目に移行されました。

要検討項目(47項目)

主に毒性評価が定まらないものや,浄水中の存在量が不明なものを集めた項目になります。全47項目について情報,知見を収集し必要であれば水質基準に盛り込んでいきます。

日本の水道水の特徴

日本の水道水の特徴を形作るのは水道水ができるまでの工程,法律による水質基準項目であるといえるでしょう。

ここでは水道水の硬度,pH,透明度について詳しく説明していきます。

硬水・軟水

水の硬度は水に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表したもので,WHOの分類によると硬度が60(mg/l)未満を軟水,60(mg/l)以上120(mg/l)未満のものを中程度の硬水,120(mg/l)以上180(mg/l)未満のものを硬水と言います。

硬度の式は以下のとおりです。

硬度=(カルシウム量(mg/l)×2.5)+(マグネシウム量(mg/l)×4.1

見た目は変わりませんが,硬度の違いにより水の風味が変わります。軟水は口当たりが軽く硬水は口当たりが硬いと感じるようです。

水道法の水質基準項目では硬度は300(mg/l)以下になるように規定されています。

日本の水道水の硬度は平均で50.9(mg/l)となり,日本は軟水の国と言えるでしょう。これは日本の地形と深く関わりがあります。

カルシウムとマグネシウムは主に岩などに含まれていますが,日本の川は急流で岩に含まれたカルシウムとマグネシウムが水に溶け込みにくいという特徴から,日本の水は軟水傾向にあります。

日本国内においても,硬水が提供されている自治体は少ないですが存在します。

各都道府県にける水道水の平均硬度は【水道水について完全にまとめ上げました!】の5章に詳しく載っています

水素イオン指数pH

理科の実験でおなじみのpHは,酸性・中性・アルカリ性を表す指標として利用されています。中性7より高いとアルカリ性,低いと酸性にになります。

Hの水質基準値は5.88.6と規定されています。水質基準値は科学的な根拠ではなく,自然水のpHが概ね5.88.6になっているという経験則に基づきます。

身近な例でpHの値を見てみると,pH5はブラックコーヒー,pH8は海水になります。

水道設備の長寿命化を考えると,水道水は中性付近のpHであることが望ましいと言われています。

透明度,またの名を濁度

透明度という名の水質基準項目は存在しませんが,代わりにあるのが濁度です。水質基準項目の濁度は2度以下であることが規定されています。

濁度とは水1(l)中に標準物質と呼ばれる微粒子の粉末1(mg)が十分撹拌された状態の濁り具合を1度としています。

上述した標準物質を含む懸濁液を標準液とし,水道水と比較することで,水道水の濁度を検査しています。

地表水の場合は降雨の影響を受け,原水の濁度が大きく変化します。

濁度をつくりだす物質は細菌やウイルス類の消毒を妨害する効果もあり,濁度が高い水は送配水システム内で細菌が増殖し,人体に影響を与える可能性もあります。

日本の水道水と海外(世界)の水道水の比較

水道水が飲めるのは15カ国だけ,そんなフレーズが飛び交う世界の水道水,その水質や味はどのようになっているのでしょうか?

水道水が飲める地域,飲めない地域

海外の水道水と東京の水道水の比較】でお伝えしているように水道水が飲める国は以下の15カ国になります。

アジア諸国:日本,アラブ首長国連邦

オセアニア:オーストラリア、ニュージーランド

アフリカ:南アフリカ、レソト、モザンビーク、

ヨーロッパ:フィンランド、スウェーデン、アイスランド、ドイツ、アイルランド、オーストリア、クロアチア、スイス

アメリカやカナダなどでは一部の地域で飲料可能な水道水が提供されています。

海外で水道水を飲むとお腹を壊す!?

水道水の水質基準が満たない国はともかく,水質基準を満たしている国でも水道水を飲むとお腹を壊すことがあります。これは水道水の硬度が大きく関係しています。

硬度は上述したようにマグネシウムとカルシウムの含有量が多いほど高くなります。マグネシウムは腸の水分吸収を妨げる作用があり,下痢になりやすい傾向にあります。

川が短い島国の日本やイギリスと異なり,中国,ヨーロッパ,アメリカなどの大陸の水道水の多くは,川が長いためミネラルの多い硬水となっています。

そのため大陸で硬水の水道水を飲むと,軟水に慣れた日本人はお腹を壊す場合があります。

水道水へのフッ素添加

フッ素とはハロゲン元素で,周期表では塩素の上に位置します。非常に反応性が高く,単体では毒性が強い物質です。

自然界では単体では存在せず,安定した化合物(所謂フッ化物)として存在します。フッ化物はマグマ由来で鉱物によく含まれています。

このため,フッ化物は水道水にも自然に溶け込んでおり,日本の水道法ではフッ素の含有量が0.8(mg/l)以下にすることが決められています。

フッ素といえば歯医者によく行く人なら聞き覚えのある物質ですね。虫歯を予防する手段としてフッ素コーティングなんて言葉はよく聞こえてきます。

海外では1.0(mg/l)前後のフッ化物虫歯を予防するために水道水にフッ素を添加している地域があります。

具体的にはアメリカ,カナダ,オーストリアの多くの自治体,またアイルランドでは国の法律でフッ化物の添加を実施している。

フッ化物の添加はアメリカでは60年以上の歴史を持っていますが,その是非についてはまだ議論されている段階です。

海外の水道水の残留塩素

塩素消毒が始まって100年以上立ちますが,最近では蛇口から出る水の塩素濃度を下げるような取り組みがヨーロッパを中心に行われています。

なお,世界の水道水の塩素濃度については【水道水の塩素濃度って大丈夫なの?その答えとは?】の11章にて詳しくお伝えしています。

日本の水道水の昔と今

日本の水道水が現在のようなシステムになったのは明治時代からと言われています。日本の水道はどうして今のようなシステムになったのでしょうか?歴史を紐解いてみましょう。

水道水の世界史

紀元前3000年ごろ,世界四大文明が大河の近くから誕生しました。人間が集団で居住し,文化的な生活をするためには,今も昔も大量の水が欠かせないことがわかります。

その後人間の生活地域が広がるにつれて,安定的にきれいな水を得ようと治水技術が発展していきます。具体的には,川をせき止めたり湧水を利用したりと,現代で言うところのダムや井戸の始まりです。

ローマ時代の水道が現代水道の親?鉛の配水管はローマ時代から

紀元前727年頃には,アーチ式の門や水路が登場します。これらの技術を持っていたのがエトルリア人でしたが,彼らは古代ローマ帝国との争いに破れ,その技術はローマ人へと受け継がれていきました。

紀元前312年,ローマに初めてアッピア水道が敷設されました,ローマの東12km先の泉から16.6kmに渡って地下を通る水道になります。その後もローマ帝国は各地で水道事業を行い,現在まで使用されている水道も存在します。

この時代の水道は現代のものにかなり近く,以下の5点がすでに実施されていました。

(1)水源の水質調査水がされていた。

(2)ダムを設け貯水と取水をコントロールしていた。

(2)水が通る導管は石やレンガ,コンクリートなどが使われ外側から異物が入らない仕組みとなっている。

(3)沈殿槽による簡易的な不純物の除去。

(4)マンホールなどの点検施設を備えていた。

(5)配水水槽があり,そこから鉛などのパイプを通って各戸配水されている。

今から2000年以上前に各戸配水されていたのは驚きに値します。現在の水道技術の原型はローマ帝国時代に作られたと言っても過言ではありません。

ろ過システムと塩素消毒はコレラ対策

ローマ帝国時代に使用されていなかった濾過システムと塩素消毒は19世紀を過ぎてから登場します。

これまでの歴史から疫病と水の関係性はなんとなく知られていましたが,このことを明らかにしたのがジョン・スノウです。

彼はコレラが大流行し,毎日死者が数千人を超える19世紀のヨーロッパにおいて,患者発生マップと各水道会社の給水地域との比較を行い,コレラと給水地域の関係性を明らかにしました。

その後,1829年にイギリスで開発された緩速ろ過を採用した水道会社の給水地域において,。コレラの発生率が低いことがわかりました。コレラやチフスと言った疫病が大流行していたヨーロッパでは,伝染病に効果があるろ過システムの導入が急速に進みます。

一方アメリカでは,1896年に急速ろ過が取り入れられる。急速ろ過は名前の通り,急速ろ過に比べ濾過速度が早く,更に小面積で大量の水を処理できるろ過システムです。

更に1903年,ベルギーで塩素消毒が初めて導入されました。塩素消毒もコレラに効果があることから,急速に導入が進みました。

こうして,現代の形に近い水道,すなわち急速ろ過と塩素消毒と言った組み合わせの水道が出来上がっていきました。

水道水の日本史

縄文時代の遺跡である三内丸山遺跡は,沖館川右岸の河岸段丘上に立地することから,古代日本の人々は川の近くに住んでいたことがわかります。

その後,人口の増加や住居の移動により,水路や井戸を掘ることで水を確保するようになりました。

古代から江戸時代までの水道は木製の配水管

日本における最初の水道供給施設については平城京(現在の奈良県)におけるものが最初だと言われています。木製の給水管や継ぎ手などが発見されています。

日本最古の公共水道と呼ばれているのは小田原用水(現在の神奈川県)です。その創設時期は明らかではありませんが,北条氏康(15151571年頃)の代だと推察されています。小田原早川上水では炭や砂で簡易的なろ過をして飲料水として利用していたといいます。

北条攻めのとき,小田原早川上水を見た徳川家康は,江戸幕府を開いた後浄水の整備に力を入れます。

江戸はローマと同様100万人都市でした。人口の増加に伴い水不足が顕在化してくると,小石川上水,神田上水,玉川上水と次々に上水が布設されていきました。

水を運ぶ導管には石や木を,配水管や給水管はは木ひと呼ばれる木の筒を利用していました。町中まで運ばれた水は井戸のような形で蓄えられ,各人が必要な分だけ汲みに行くと言うもので各戸配水には対応していません。

配水管が木製とは,国土の2/3が森林という日本の風土が窺えます。

近代日本のコレラ対策~濾過システムと塩素消毒~

江戸時代末期,鎖国がおわると日本にもコレラの影が忍び寄ります。いわゆる「安政コレラ」で江戸だけで10万人が死亡したといわれています。その後も流行は続き,明治時代に入っても2~3年間隔で数万人単位の患者が発生しました。

1879年と1886年には死者が10万人以上となり,対策が急がれました。

近代の水道導入は1887年(明治20年)に横浜に相模川を水源とした濾過水を外国人居住地や市民に給水したのが始まりです。その後,函館,長崎,東京にそれそれ敷設されていきました。

当時の技術はイギリスから輸入したもので,緩急ろ過が主流でした。その頃に建築された緩速ろ過池が今も岡山市や下関市に残されています。

日本における塩素消毒は1921年に東京市と大阪市今後,沈殿濾過消毒がセットになった水道水が提供されるようになり,次第にコレラは沈静化していきました。

日本で急速ろ過が取り入れられたのは第二次世界大戦後になります。皆さんも御存知のようにアメリカ主導のもと復興の旗振りがされ,アメリカ式の急速ろ過もこの時急速に広まりました。

現在の水道水 

水道水は人間の生活に欠くことのできないものである一方で,汚染されやすく伝染病を広げるのに一役買っている事がわかります。

このため,水道水は高い衛生基準を設けることが必然となりました。

日本では昭和32年,水道法が制定し飲料水の水質基準が定められました。

それが何回か改定され,水道の水質基準項目(51項目)を遵守し,さらに水質管理目標設定項目(26項目)を水質を管理する上で留意する,という現在の形になっています。

現在、日本の水道普及率は97%を超え,いつでもどこでも安全で衛生的な水を得ることができるようになりました。

最近では新たな浄水方法(高度浄水処理)を導入している事業体もあり,日本の水道水は安全性と美味しさにより磨きをかけていくことでしょう。

高度浄水処理については「高度浄水処理技術とは」にて詳しくお伝えしています。

水道水にまつわる雑学

日本の水道水、美味しさランキング

最近では自治体が水道水のペットボトルを売り出し,水道水の美味しさをアピールしています。日本の水道水はどこが美味しいのでしょうか?

ここでは,おいしい水の要件に合致した人口10万人以上の32都市を紹介します。

北海道は苫小牧市,帯広市,

東北地方は青森市,弘前市,秋田市,

関東地方は宇都宮市,小山市,前橋市,富山市,高岡市,

中部地方は金沢市,福井市,松本市,甲府市,岐阜市,大垣市,静岡市,沼津市,富士宮市,名古屋市,豊橋市,

近畿地方は津市,松阪市,

中国地方は岡山市,広島市,山口市,鳥取市,米子市,

四国地方は高知市,

九州地方は熊本市と都城市がそれぞれ選ばれています。

この他にも,水道水が美味しい市町村ランキングなど,色々な組織や人が水道水の味を評価しています。

詳細は,【おいしい水道水についてと、どこの水道水がおいしいのかを徹底調査しました!】にて紹介しています。

5.3 紅茶と日本の水道水

水と紅茶(抹茶や緑茶なども)の味や色と相関関係が強いことでよく知られています。

茶葉などの乾燥物から旨味を抽出するのは,一般に軟水のほうが適していると言われています。

紅茶大国イギリスは,首都ロンドン近くは硬水,北部は軟水という分布になっています。このためイギリスでは硬水用紅茶と軟水用紅茶とが売られているぐらいです。

水の硬度が高くなると,茶葉成分の抽出能力が低下するためタンニンの溶出が少なくなります。

このため,硬度が高い水は渋みが少なく香りも弱くなる傾向にあります。また,水色は高度が高いほど濃くなる傾向があります。

日本は平均的に軟水の地域なので,水道水は紅茶を入れるのに適しているといえます。

日本の水道水に関するまとめ

日本の水道水について様々な観点からお伝えいたしました。

新技術を取り入れながら日本の水道水の安全性と味はますます進化を遂げています。

一方で水道設備の老朽化対策,耐震化対策や,この先には人口減にともなう水道水の管理コスト増加,民間事業者の参入による安全性の担保など課題もあります。

日本の水道水は世界トップクラスです。

これからも日本の水道水を生活や健康に役立てていきたいと思います。

 
 

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