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水道水の塩素について、すべてを徹底的に調べました!

水道水   8,314 Views

水道水には塩素が含まれているからカルキ臭くおいしくない、水道水に含まれる塩素を始めとする薬品が体に与える影響が心配、などの理由で、水道水を飲まない人も増えてきています。

ここでは水道水の塩素について、そのメリットやデメリット、その他水道水の塩素のすべてについてまとめています。水道水をよく知るためのヒントにしてみてください。

Contents

水道水に塩素を含む理由

水道水になる水はどこから来ているのでしょうか?河川、ダム、湖や沼などの水や、地下水を水源として、それをきれいにして各家庭に供給されているのです。

水を浄化する過程では、沈殿させたり凝固剤を注入したり、ろ過したりするわけですが、最後に消毒し、雑菌の繁殖が起こらない状態で各々の家庭の蛇口に届けられます。

この消毒・殺菌の目的に使われているのが塩素です。

消毒の方法には塩素消毒以外にも、オゾンや二酸化塩素を用いる方法もあるのですが、世界的に見ても塩素消毒が主流になっています。

塩素を用いるメリットは、塩素は消毒の効果が大きくて確実であることや、塩素には残留性があるため、途中で消毒の効果が切れたりせず後まで残ることなどです。

他にも、大量の水に対しても一度に容易に消毒できる点や、残留塩素の測定や維持管理が簡単にできる点も塩素消毒のメリットになっています。

オゾンには残留性がなく、二酸化塩素は化学的に不安定であるため、塩素が殺菌や消毒にとても役立つのです。

塩素は体にとってよくないのでは、と懸念する人が多いのも事実ですが、塩素を注入しなかったら、雑菌やウィルスのたくさんいる水道水になってしまい、不衛生でとても安心して飲むことができません。

塩素は飲料に適する安全な水にするために、無くてはならないものなのです。

水道水の塩素基準 

塩素が消毒のために必要ということはわかるけれど、ちゃんと分量が決められているのか、それは体に影響のない範囲の量なのか、それが心配ですよね。

日本の水道水は、塩素の量以外にも、51項目もの水質基準項目と、26項目の水質管理目標設定項目など、細かく基準値を設定して、この基準に適合するようにしっかり管理を行っているので安心なのです。

水道水の塩素濃度について知りたい

塩素濃度は1リットルのお水に塩素が何mg含まれているか、という単位を使って、0.1mg/L(ミリグラムパーリットル)のように表されます。

大体、蛇口から出てくる水道水の塩素濃度は0.1 mg/L~1 mg/Lぐらいです。

水道水の塩素濃度をあらわすppm

塩素濃度をあらわす時にppm(パーツパーミリオン)を使うこともあります。割合をあらわすもので、100万分のいくつという意味ですが、水道水の塩素濃度については、1mg/Lと、1 ppmは同じと考えて問題ありません。

水道水の塩素濃度に関しては、「水道水の塩素濃度って大丈夫なの?塩素濃度についてまとめてみました。」の記事にてより詳しくすべてをお伝えしています。

法律では水道水の塩素についての記載方法

塩素の濃度基準については、水道法施行規則(厚生労働省令)第17条3号に、

「給水栓(俗に言う蛇口)における水が、遊離残留塩素を0.1mg/L(結合残留塩素の場合は0.4mg/L)以上保持するように塩素消毒をすること。

ただし、供給する水が病原生物に著しく汚染される恐れがある場合、又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物もしくは物質を多量に含む恐れのある場合の給水栓における水の遊離残留塩素は0.2mg/L(結合残留塩素の場合は、1.5mg/L)以上とする」

と定められています。遊離残留塩素とは、供給される水道水の中に未だに残っている塩素のうち、まだ殺菌効果を失っていない、他の物質と反応しやすい塩素のことです。

水道局は、水質基準に定められているように、大腸菌ゼロ、一般細菌も1mlの検水で形成される集落数が100以下の水質の水を提供する義務があるので、きちんと消毒されていることを示すために、残留塩素は最低基準のみ定められています。

塩素の上限は法律では義務付けられてはいないものの、残留塩素の目標値を1 mg/L以下に設定し、できるだけおいしく、体にもよい水を提供できるよう努力しています。

水道水の塩素の世界基準

世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドラインには、塩素の値は5mg/Lとされており、この値は生涯に渡って水を飲み続けても人の健康に影響がない濃度であるとされています。

これと比べて日本の基準値0.1mg/L~1mg/Lはかなり低い値に収まっていますので、安全で良い水だと言えます。

塩素化合物であるトリハロメタンの一つであるクロロホルム値も、WHOが0.2 mg/Lなのに対して、日本の基準は0.06 mg/Lとより厳しく、アメリカ環境保護省(EPA)規定、EU規定と比べても、日本の法律は同等かそれより厳しく基準が設定されています。

塩素添加のタイミング

塩素は浄水場で塩素消毒されますが、給水栓(蛇口)での塩素量が0.1mg/L以上と定められていることから、浄水場では給水栓までの距離や温度などを考慮して、それ以上の塩素を注入しています。

というのは、塩素には時間が経ったり、温度が高いと気化して効力を失う性質があるためです。

そのため、浄水場に近い場所での給水栓では、高濃度の塩素が測定されることもありました。

また逆に、少ない塩素量では途中で塩素の効果が薄れて、遠くの給水栓で必要以上の塩素が測定されない可能性もあります。

そのため、水道局によっては、給水途中で塩素を再注入できる仕組みを整えているところも増え始めました。

水道水の塩素反応

では実際、塩素はどのようにして水を殺菌しているのでしょう?水の中では、どのような反応が起こっているのでしょうか?

浄水処理場での塩素の働き

水道水を作るために塩素ガスを水に溶かすと、次亜塩素酸と塩酸が発生し、次亜塩素酸の一部は次亜塩素酸イオンと水素イオンになります。

次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンは遊離残留塩素(有効塩素)と呼ばれて、強い酸化力を持ちます。この酸化力によって、ウィルスや微生物、雑菌などの細胞膜や細胞壁を破壊させます。

そして内部のタンパク質や核酸の性質を変化させることで、殺菌や消毒の効果を得ることができるのです。

これら、塩素、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオンの量は、水のPH値によって変化し、PH4以下では塩素が増え、次亜塩素酸は少なくなりますが、PH5以上では次亜塩素酸イオンが増え、次亜塩素酸は少なくなります。

どちらにしても、強い殺菌力をもつことに変わりはありません。

水道水の水源となる自然水には、アンモニアやその化合物が含まれていて、これらの物質は浄水過程で全て取り除かれるわけではありません。

消毒の段階において、遊離残留塩素と反応してクロラミンになりますが、その中でモノクロラミンとジクロラミンは結合残留塩素と呼ばれ、これらにも遊離残留塩素の数分の1の殺菌作用があります。

塩素による浄水には、遊離残留塩素を使う不連続点塩素処理と、結合残留塩素を使う結合塩素処理があります。

不連続点塩素処理

まず不連続点塩素処理について説明します。

結合残留塩素はたくさんの遊離残留塩素と反応して消えてしまうという性質があります。

水中のアンモニアやその化合物が結合残留塩素になった後で、更に塩素量を増やしていくと、遊離残留塩素がどんどん増えていき、それらが結合残留塩素と反応して、ついにはどちらの塩素も消滅し、殺菌効果を失ってしまいます。

この時の塩素の注入量を不連続点と呼び、不連続点からさらに塩素量を増やしていくと、また遊離残留塩素が増え、殺菌効力も増していきます。この時の浄水処理のことを不連続点塩素処理と言います。

結合塩素処理

一方結合塩素処理とは、余分な遊離残留塩素を出さないようにして、結合残留塩素のみで殺菌・消毒をする処理方法です。

飲料として使用する水道水の処理には、過剰な塩素を含まないほうが良いので、きれいな水源を確保して、結合塩素処理で殺菌・消毒できるようにするとよいです。

浄水場では塩素消毒の際、塩素ガスを取り扱うのは難しいので、水酸化ナトリウム水溶液と反応させた、次亜塩素酸ナトリウムを使うことが多いようです。

平成24年度に水道事業体に向けて次亜塩素酸ナトリウムの採用状況を調査した結果によると、全体の99%に及ぶ事業施設で、塩素消毒に次亜塩素酸ナトリウムを使用していることがわかりました。

次亜塩素酸ナトリウム

では、次亜塩素酸ナトリウムとは何でしょう?

市販されている水道水用の次亜塩素酸ナトリウムは、有効塩素が12%以上、PH12以上の淡緑黄色の透明な液体です。

この市販の次亜塩素酸ナトリウムには、次亜塩素酸ナトリウムの他に、その分解を抑制する水酸化ナトリウム、食塩、次亜塩素酸ナトリウムの酸化物である亜塩素酸ナトリウムと塩素酸ナトリウム、そして製造時の不純物である臭素酸を含んでいます。

この次亜塩素酸ナトリウム溶液は不安定で、常温でも徐々に自然分解しますし、日光、紫外線、温度の上昇などの影響によってはさらに分解が進んでいきます。

自己分解すると塩化ナトリウムと酸素を生成し、副反応として亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウムを生成します。

そのため、保管する際には温度に気をつけ、保存期間も有効塩素濃度低下に影響のない60日程度までにとどめる必要があります。

塩素の反応を化学式であらわすと?

日本の塩素消毒は主に次亜塩素酸ナトリウムを使って行われるわけですが、その時の反応を化学式であらわすとどうなるのでしょう?

先ほどの話にも出てきましたが、塩素は気体であるため、取り扱いが難しく、水道水を消毒する場合には水酸化ナトリウム溶液と塩素を反応させてできる次亜塩素酸ナトリウム溶液を使います。

その時の化学式は、

2NaOH + Cl2 → NaCl + NaClO + H2O  で、

NaOH水酸化ナトリウムと塩素Clから、塩化ナトリウム(食塩)NaCl、次亜塩素酸ナトリウムNaClO、そして水H2Oができることがわかります。

こうしてできた次亜塩素酸ナトリウムは自然分解し、

NaClO=NaCl+O 

酸素を放って食塩水に変化していきます。

この時放った酸が、有機物などとくっつくことで殺菌・消毒・漂白作用を得ることができます。

また、塩素分子を水に溶かしてできるのは塩酸と次亜塩素酸なので、水道水には塩酸も含まれていることになります。

塩酸というと塩素同様、毒物を想像してしまうかもしれませんが、塩酸というのは血液中にも胃液中にも含まれているもので、微量なものですから心配いりません。

 Hl2 (塩素) + H2O (水) → HCl (塩酸) + HClO (次亜塩素酸)

 

塩素と有機物との反応でできる物質とは?

次亜塩素酸ナトリウム(塩素)は、酸素を放って、塩化ナトリウム水溶液(食塩水)になります。その時はなった酸素は、容易に周りのいろんな物質とくっつき、有機物、無機物を問わず酸化させたり、糸状菌、細菌、ウィルスなどの微生物を死滅させ殺菌させます。

中でも、自然に存在する、植物が腐敗する際に発する有機物の一群であるフミン酸と塩素が反応すると、塩素化合物トリハロメタンが発生するとされています。

塩素化合物トリハロメタンとは?

トリハロメタンとは、メタンを構成4つの水原子のうち、3つがハロゲンに変わってしまった化合物の総称です。いろいろなトリハロメタンが存在しますが、中でもクロロホルムが有名です。

クロロホルムは水道水に含まれるトリハロメタンの6割から9割を占めています。また、クロロホルムには、肝障害や腎障害を引き起こすことが知られています。

また、トリハロメタンは発癌性や催奇形性が疑われており、地球汚染物質としても注目されています。

水道水を塩素で消毒すると、トリハロメタンが発生し、またトリハロメタンには沸騰させると一時的に増加するという性質があるため心配を煽る情報も多いのですが、日本では塩素同様、厳しい基準でしっかりと管理されています。

世界保健機構(WHO)が一生涯水道水を飲み続けても10万分の1の発がん率を超えない範囲でクロロホルムの基準値を0.2mg/Lと設定していますが、日本の水質基準はそれより厳しい0.06mg/Lです。

塩素消毒に使われる塩素の種類

塩素消毒と言い、塩素と一口に言いますが、塩素には様々なものがあります。ここでは、塩素消毒剤としての塩素の種類を紹介します。

一番良く使われているのは次亜塩素酸ナトリウムです。危険性がなく、取り扱いやすいというメリットがある反面、長期保存に向かないというデメリットがあります。

次に、カルキと呼ばれるもので、次亜塩素酸カルシウムがあります。これも塩素なのですが、固形なので、注入時に溶解させる必要がある点、発火するおそれがある点から、水道水浄水にはあまり使われていません。

ただ、塩素の有効成分が高く、貯蔵しておけることから、プールや浴場の消毒にはよく使われています。

ほかに、液化塩素もありますが、こちらは毒性が強く取扱が難しいのでほぼ使われません。

そして、クロラミン(モノクロラミンとも言う)もあります。アンモニアの水素原子を塩素で置き換えた塩素化合物なのですが、このクロラミンは塩素の代わりに水道水の消毒に使われることが増えています。

というのも、クロラミンはトリハロメタンを生成せず、残留効果も高く、塩素臭を出さないため、水がより美味しくなるからです。

ただ消毒効果は低めで、注入方法や管理方法も複雑なので一般化していません。

水道水の塩素と塩分との関係

塩素という言葉からも明らかなように、塩素と塩とは密接な関係にあります。

塩素の塩が原因で病気になる?

水道水には塩素が含まれており、塩素の化学反応において、塩化ナトリウム(塩)を作る働きがあることは前に述べました。

そのため、水道水を飲むことで体に取り込まれた塩が病気の原因にならないか、という心配をされる方もいるかもしれませんが、1リットルの水道水に塩素は1mg以下しか含まれません(塩素濃度1 mg/L)し、その微量な塩素の中から発する塩は更に微量であり、塩分については問題にもなりません。

しかし、水道水に含まれる塩素が原因で、動脈硬化になりやすい、という研究者の意見もあります。

アメリカでは、1912年に水道水の塩素消毒が開始されましたが、1930年代には、今まであまりみられなかった心臓病が統計的に見られるようになったのが原因で研究され始めました。

J.M. プライム博士によると「塩素が、アテローム性動脈硬化に起因する心臓発作や、脳血管障害の決定的な原因になっている」と指摘して、コレステロールが塩素の影響のもとに堆積される作用があるとしています。

動脈硬化が塩分と関係があるのは認められることですが、この場合は塩ではなく、塩素の働きが問題なのです

心臓病と塩素消毒の関係性について、真偽の程はまだ解明されていません。

塩素の作り方

塩素は海の塩から作ることができます。海の塩は海水を取り入れて乾かす塩田で、水分を飛ばして塩分だけを採取するのですが、その採集の方法も太陽光の熱のみによる方法や火で加熱する方法などあります。

日本国内で作られる塩素には、ほぼオーストラリアやメキシコからの輸入天日塩のみが用いられています。

塩素は、水に塩を溶かして塩水にしたものを電解槽に入れ電気分解すると、陽極に塩素ガスができるので、これを加工して作られるのです。

日本では、イオン交換膜法を採用しており、陽極室には食塩水を、陰極室には水を入れ、これに電気を流すことで、電気分解して、塩素ガスやか性ソーダ、水素を得ることができる方法を採用しています。

水道水消毒用塩素とPH(水素イオン濃度)との関係 

水質をあらわすものの一つにPHがありますね。PHは水素イオンの濃度をあらわすもので、PHの値が1変われば水素イオン濃度が10倍変わることになります。

日本の水道水の水質基準としては、PH5.8~8.6とされています。PHは、1~14の段階があり、数字が高いほどアルカリ性を示します。

水質の基準内だとしても、中性からアルカリ性になる時もあります。それはどんな時かというと、もともとの水源の水質が中性(7PH)以上である時や、消毒用塩素や水酸化ナトリウム、消石灰などの添加によってです。

消毒に使われる次亜塩素酸ナトリウム水溶液はアルカリ性に保持されているため、塩素濃度が高いとアルカリ性に傾きます。

また、水酸化ナトリウムや消石灰は、PHを調節するために入れられる薬品で、これもアルカリ性なので、水質もアルカリに傾きます。

そして、塩素の消毒効果も、PHによって変わってきます。水が中性から酸性ならば、塩素は次亜塩素酸に変化して殺菌効力が高まります。

逆にアルカリ性ならば、塩素は次亜塩素酸イオンに変化して、消毒効果は低下します。そのため、しっかり消毒効果を得たいなら、PHを6.8~7.4の中性に保つようにするとよいです。

水道水の塩素濃度測定

水道水の塩素濃度は、水質基準にも定められているものですから、しっかり測定され、管理されなくてはいけません。

浄水場での検査はどのように行われる?

各水道局では、水源の水質に異常がないかの検査やパトロールから、浄水場の各工程での検査まで、徹底して管理を行っています。

浄水場では魚を使った検知用水槽や自動水質計器で常に水質を監視します。また、浄水場以外でも、幾つかの給水栓にて定期的に水を採取し検査され公開されています。

また、大きな都市によっては、水質遠隔監視装置などを設置し、自動的に24時間連続、もしくは一定間隔で水質検査ができるところもあります。

自動測定器を使う場合はたいてい、残留塩素濃度と水の色、濁りを調べることが多いようです。

塩素計測が義務付けられているところ

水道水は浄水場から給水管にて各家庭に届けられますが、ビルやマンション、工場などによっては、水道水をいったん受水槽に溜めてからそれぞれのアパート、もしくは蛇口に給水する方法を取っている場合もあります。

そのような受水槽のうち、有効用量の合計が10㎥を超えるものを「簡易専用水道」と言い、設置者が衛生的に管理することが義務付けられています。

具体的には、毎年1度、厚生大臣の登録を受けた検査機関による検査を受検しなくてはいけません。この検査の中には、残留塩素の検査も含まれています。

その他、望ましい管理として指導されるものの中にも、週1回の残留塩素の測定、年1回の水質検査が含まれています。

また、遊泳用プールも厚生省生活衛生局によって衛生基準が定められており、遊離残留塩素濃度は0.4 mg/L以上必要で、1mg/L以下であることが望ましいとされていますので、常に計測する必要があります。

そして、公衆浴場についても、「浴槽水中の遊離残留塩素濃度を頻繁に測定して、通常0.2ないしは0.4mg/L程度を保ち、かつ、遊離残留塩素濃度は最大1mg/Lを超えないよう努めること」が義務付けられています。

測定方法にはこんな種類がある

塩素の測定方法には、DPD法(ジエチルパラフェニレンジアミン法)、ヨウ素法、電流法(ポーラログラフ法)、DPD吸光光度法、オルトトリジン法(OT法)があります。

詳しくは、水道水塩素濃度に関する記事の中の、「水道水の塩素濃度を測定することはできる?」に述べていますので参照してください。

自宅で簡単に塩素チェックする方法

いつも口にする水道水がどのくらいの塩素濃度があるのか、簡単にわかるなら調べてみたいですよね。

お住いの地域の塩素濃度は、管轄の水道局のサイトから検査結果を見ることで把握できますが、実際に調べてみたいなら、コップに汲んだ水道水にDPD試薬を混ぜるだけで判定できます。

ピンク色に染まれば残留塩素があるということで、色の濃さによってだいたいの塩素濃度が目視で判断できます。DPD試薬は通販で、とても安価で買い求めることができます。

ただし、正確さには欠けるので、正確な数値が知りたい場合は、デジタル式の塩素計が約1万円ぐらいからありますので、これを使うといいでしょう。

水道水の温度で塩素濃度は変わる

水道水の塩素濃度は、実は少しのことで変化します。温度によって変化するというのも本当で、温度(水温)が高いと雑菌が繁殖しやすいのでそれを酸化させる(殺菌する)ために塩素がたくさん使われ塩素濃度が下がります。

また、塩素には気化しやすい性質もあるため、温度が高いと自然分解しやすくなり塩素濃度は低くなります。

このため、浄水場では季節によって塩素注入量を調節して、夏にはより多く、冬にはより少ない塩素を使っているのです。

水道水に塩素はいつから含まれるようになったの?

日本の水道は、室町時代の後期に戦国大名北条氏康によって小田原城城下町に小田原早川上水が建設されたのが最古の記録とされています。

この時代から水道は存在していたにも関わらず、1888年には簡易水道こみで普及率2%、大正末期ですら普及率20%ほどしかありませんでした。

では水道水が塩素消毒されるようになったのはいつからでしょう?

日本の塩素消毒の歴史

感染病については、江戸時代にオランダ船の船員から持ち込まれたのをきっかけに、日本でも感染症の大流行が起こった時期がありました。

1860年頃には死者28万人以上のコレラが大流行しましたし、1886年死者1万3千人以上の腸チフスの流行、1893年には死者4万人以上の赤痢の流行などがありました。

病原微生物の消毒として、1921年(大正10年)に、東京と大阪で塩素消毒が初めて行われました。ただこの頃は、浄水は主にろ過のみで、塩素消毒は感染症の流行時やそのおそれがある時だけでした。

その後昭和13年頃には、東京都ではほぼ常時塩素を注入して消毒を行っていたようですが、全国的にはまだあまり普及していませんでした。

水道水の塩素消毒が徹底されたのは、戦後のGHQの指導によるもので、1946年(昭和21年)8月にアメリカ陸軍の司令で、各浄水場にて塩素2ppmを注入し、水道管の終端では0,4ppm以上を検出するよう言い渡されました。

このように、従来の常識(それまでは主に0.1ppm、伝染病発生時で0.3ppmの注入程度)をくつがえすかのような多量な塩素注入の結果、乳幼児の死亡率や感染症による病気の患者数はどんどん減少していきました。

その後1949年12月には、排水管末における残留塩素量が0.4ppm 以上という項目だけになったため、塩素注入量は1.2~1.5ppm程度に下がりました。

そして1957年(昭和32年)に制定された水道法によって、蛇口での残留塩素を0.1mg/L以上とすることが定められ、現在に至っています。

水道水の塩素添加はGHQの陰謀?  

陸上自衛隊小平学校人事教育部長を勤めていた池田整治元陸将補が、自分の著書の中で、水道水への塩素添加は、GHQによる日本弱体化の陰謀だと主張している、と言う人達がいます。

具体的には、電気や水道に関する細部調整会議の際に、海兵隊のキーン少佐が、日本の水はマッカーサー元帥によって毒(塩素)が入れられているからこのままでは飲用できない、と発言したことを受けて、塩素の危険性を強調しているものです。

実際にはGHQの陰謀だと言っているわけではなくて、「世界金融支配体制によって、日本人は塩素消毒が安心だとマインドコントロールされており、日本は弱体化し人口削減されながらお金を巻き上げられている、それはまるでいまだに戦後のGHQからの植民的支配を継続させられているのと同じである」、という論調です。

個人的意見から陰謀という言葉が独り歩きしましたが、実際にはアメリカでも塩素消毒しており、陰謀説の根拠はどこにもありません。

塩素消毒水道水の特徴

塩素消毒された水にはどんな特徴があるのでしょう?その他の水と比べて、その特徴を幾つか上げてみます。

塩素消毒水道水の味は?

水道水の水は、塩素が入っているから、塩素臭く(カルキ臭い)まずい、という声がよく聞かれます。薬品の味がすると感じる人もいます。

おいしい水は、あまり塩素が入っておらず、適度にカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が含まれている水です。

ミネラル分は多すぎても少なすぎてもおいしく感じられません。おいしい水道水を目指して、昭和59年には当時の厚生省が「おいしい水研究会」を設立し、おいしい水の要件を示しました。

そのひとつとして、塩素濃度が0.4mg/L以下がおいしい水の要件であるとされています。

塩素量は水の味を大きく左右することから、それ以降多くの水道局で塩素濃度0.4mg/L以下の水を提供できるような取り組みが強化されています。

塩素消毒水道水の臭いは?

水のにおいは水の味に大きな影響を与えます。塩素が多くなると塩素臭くなり、カルキ臭がすると一般に言われ、まずいと言われます。

塩素以外にも、カビ臭や藻臭など、不快なにおいがついているとまずく感じるので、水道水の水質検査には必ず臭いがチェック項目に入れられています。

また、カルキ臭の原因であるトリクロラミンや、かび臭さの原因である2−メチルイソボルネオール及びジェオスミンなども同様です。

塩素消毒水道水の結晶について

水の結晶について詳しい江本勝さんは、水は情報を転写して記憶しているとして、その証拠に色んな種類の結晶を示しています。

きれいな言葉をかけた水はきれいな結晶をつくるのに対して、ネガティブな言葉をかけた水は結晶を形作りません。

また、蒸留水や、汚染されていない湧水もきれいな結晶になりますが、塩素処理した水道水は結晶が崩れるという結果も報告しています。

塩素消毒水道水とミネラルウォーターの違い

水道水にもミネラルウォーターにもナトリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラル成分が含まれてますが、比較的ミネラルウォーターにはカルシウムが多く含まれています。

また、水道水は51項目の水質基準をクリアしなければならないのに対して、ミネラルウォーターは39項目で、比較的管理がゆるくなっています。

水道水の塩素とカルキの違い

水道水に含まれる塩素は次亜塩素酸ナトリウムです。これに対して、カルキとは、オランダ語では石灰(さらし粉)、ドイツ語では塩化石灰のことを指し、塩化石灰は水に溶かすと次亜塩素酸カルシウムになります。

次亜塩素酸ナトリウムも、次亜塩素酸カルシウムも、どちらも塩素で、塩素消毒に使われる点では非常に似ています。

厳密に言うと水道水の塩素とカルキとは別物ですが、水道水にカルキ臭がする、というように、塩素という意味で一括りにされて使われるのが一般的になっていますから、塩素とカルキは同じと考えて良いです。

次亜塩素酸カルシウムとは?

次亜塩素酸カルシウムとは、塩化石灰を水に溶かしたものであると述べましたが、この塩化石灰は消石灰に塩素を吸収させて作られるもので、固形化されたものはプールなどの塩素消毒によく使われています。

次亜塩素酸ナトリウムと比べると、固形化できるため長期保存ができますが、より高価です。危険性に関しては同じで、酸性に傾くと塩素を発生させますが、固形であるため酸性のものと混ぜたりする危険性が低いので、あまり記載されていません。

水道水の塩素で石灰ができる?

加湿器や電気ポットに白い塊がこびりついた経験はないでしょうか?

水道水を沸騰させると白い結晶ができる、カルキがこびりつく、石灰ができる、と言われますが、あれは、水道水に含まれていたカルシウム分が固まったもので、カルキ(石灰)ではありません。

こすってもなかなか落ちないものですが、酢やクエン酸で取り除くことが可能です。

クエン酸は有機酸で、酸味のもとになる成分です。酸ですから、アルカリ性の汚れを簡単に落とすことができるのです。

水道水の塩素の殺菌効果

塩素はとても消毒効果、殺菌力が高いものです。塩素消毒された水道水のおかげで、コレラなどの感染症の病気がほとんどの国で駆逐されました。

それほど強い酸化力をもつ塩素ですが、微生物によっては消毒耐性の強いものもあり、殺菌できないものもあるのです。

塩素で殺菌できる主な細菌

塩素はその強い酸化力によって、ほぼすべての一般細菌やカビを確実に殺菌できます。

水道水から絶対に検出されてはいけないものにO157などの大腸菌がありますが、この大腸菌にも塩素は殺菌効果を示します。黄色ブドウ球菌やサルモネラも同様です。

腸内細菌に関してはどうなのでしょうか?

蛇口で測定される残留塩素はそれほど多くはないため、水道水を飲んだからと言って腸内細菌が殺菌されることはありません。

ただし、新谷弘実教授は、水道水を飲料や料理に使い続けると腸内細菌のバランスが崩れ、異常発酵が起きて下痢や便秘の原因になるし、胃腸の粘膜細胞を傷つけて、ガン細胞などの異常細胞ができる可能性もある、と指摘しています。

カビに関していうと、細菌よりは耐性が高いようですが、それでもカンジダや黒コウジカビなどのカビを殺菌する力はあります。

塩素で殺菌できる主なウィルス

塩素消毒では、一部のウィルスを除いて、比較的全ウィルスに消毒効果を期待できます。

インフルエンザウィルスも容易に消毒できます。

鳥インフルエンザのウィルス(H5N1)も、遊離残留塩素濃度0.52〜1.08mg/Lの水に1分間接触すると、99.9%以上が不活化(感染性を失うこと)されることがわかっており、塩素消毒には弱いです。

そのため、水道水を原因として、インフルエンザに感染することはありえず、安全です。

エボラウィルスもインフルエンザウィルスと同様に適切に塩素処理されている水道水では速やかに感染性を失うため、水道水を原因としてエボラ出血熱に感染することはありません。

手についたウィルスによって、インフルエンザやノロウィルスの感染症は起こりますので、手洗いはとても大切です。

水道水には消毒効果があるので、流水で15秒間手を洗うと、ノロウィルスは100分の1に減少し、これに石鹸を使ったもみ洗いを10秒追加すると、ノロウィルスは1000分の1に減少します。

水道水によるうがいも、全くうがいをしない場合と比べて40%も風邪の発症率が減少すると言われています。

塩素で殺菌できない菌

細菌やウィルスと違い、寄生虫や胞子(原虫)は塩素消毒に対して比較的耐性があり、一部の原虫(オーシスト)や厚い皮に覆われた細菌細胞の「芽胞」などは強い耐性があり、塩素では除去不可能なものもあります

特にクリプトスポリジウムは下痢や腹痛などを起こす、人や家畜が感染する病原体なのですが、塩素消毒は効かず、別の浄化処理で濁りを取り除くことでしか除去できません。

感染時の治療薬もないのですが、煮沸1分間で殺菌すること、浄水器で取り除くことはできるようです。

塩素消毒で殺菌できない別の菌には、腸内で繁殖し、シストと呼ばれる硬い皮に覆われたジアルジアや、血液やリンパ液に入り込み全身に増殖する原虫のエキノコックスがあります。

水道水の塩素による体への害

塩素消毒のお陰でコレラ、赤痢、チフスなどの伝染病がほぼなくなり、いつでも安全な水道水を使えるというのはとてもありがたいことです。ただ、こういった即命に関わるような大きな危険からは遠ざかることができましたが、やはり塩素には強い酸化力があるため、幾つかの問題も残されています。

塩素消毒された水道水を使い続けていると体に悪い影響を与えないか、塩素の安全性について、特にアメリカでは、活発に研究が進められています。

塩素による皮膚への影響

水道水は飲料以外にも、おふろやシャワーでも大量に使用します。

1986年の米国化学学会では、シャワーや入浴では、呼吸や皮膚吸収によって塩素を体に吸収しやすくなっており、それは水道水を飲んだ場合よりも6~100倍高く、人体への影響は無視できないと報告されました。

このような内容のレポートは数多く発表されており、15分の入浴とシャワーは1リットルの水道水を飲むのと同様の汚染物質の摂取量であるとか、長時間のシャワーは有害物質を皮膚から吸収しやすいので危険であるとか、シャワーによって汚染物質が散らされるので、シャワーの場合、風呂の中に流入するより大きな表面積を持つなどと言われています。

肌荒れ、かゆみ、湿疹

食器を洗ったり、そうじをしたり、水仕事をよくすると手荒れが起こるというのはよくあることですね。 

個人差はありますが、水道水の残留塩素がある一定濃度を超えると肌のバリア機能を低下させ、角質層の水分不足を起こし、刺激を受けやすい肌になるため、肌のトラブルが増えるということが言われています。

これは、残留塩素が肌のタンパク質を酸化させ、傷つけてしまうことが原因です。

肌のトラブルには、カサカサと乾燥したり、ムズムズかゆくなったり、ヒリヒリ敏感肌になったりすることが挙げられますが、ひどくなると乾皮症(老人性乾皮症)や乾燥肌、湿疹が出たり、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎になったりします。

また、塩素消毒された水道水でシャワーを浴び続けると、小じわの原因になり老化を促進するとか、ドライスキンになるとも言われています。

アトピー

アトピー性皮膚炎を悪化させる要因には、雑菌・ダニ・ほこり・花粉・タバコのやに・汗などがありますが、水道水の塩素との関係性も最近ますます注目されています。

塩素を除去すると、ピリピリと肌をさすような感覚が軽減されるという声、塩素除去シャワーヘッドに取り替えてからアトピーの症状がおさまったという声がよく聞かれるからです。

また、日本での塩素消毒は戦後からはじまりましたが、高度成長期に伴う環境汚染による水道水の汚れを気にして塩素注入を増やし始めたのが1960年代後半、アトピー患者が増えたのが同時期であるということからも、塩素がアトピーの発症、悪化の原因になっていると考えられています。

また、アトピーは最終的に皮膚に異常が現れますが、その原因は食物アレルギーである場合もあります。例えば、塩素消毒されている水道水を飲むことで胃の粘膜が破壊されたり消化力の低下が起こり、その結果食物アレルギーが起きている事も考えられますし、腸のバリアが低下して善玉菌が減ることで免疫異常を起こし食物アレルギーになっていることもあります。

少しのことでも敏感に感じるアトピー肌の人は、通常の人が何とも思わない塩素にも反応して被害を受けている可能性は大いにありますので、症状緩和のためにも塩素除去を試してみるとよいでしょう。

ニキビの原因になっている?

水道水もしくはプールの塩素の殺菌力によって、ニキビのもとになるアクネ菌を殺菌できるのか、ニキビを治せるのかという疑問に関しては、しっかりとした結論はありません。

ニキビがプールで改善した、治った、という人も少なからずいるそうですが、炎症を起こしている場合などは逆効果にもなりかねませんので注意しなくてはいけません。

ニキビ治療には効果はあまりないと思いますが、一つの予防策になるとはいえます。

一般的に、水道水で洗顔したり体を洗ったりすることでニキビがひどくなるとは考えられませんし、雑菌のいない水道水によってニキビができるという事も考えられませんから、塩素がニキビの原因になっているということはないと思います。

ただし、どんな方法を使ってもニキビが改善しない場合、その原因が水道水の塩素であることを指摘している人もいます。

塩素は肌を痛め乾燥させる原因なので、美容家は不純物の非常に少ない精製水をスキンケアに取り入れる事を勧めています。

塩素による髪への影響

プールの後に髪がパサパサになる、塩素除去シャワーヘッドを使うと髪の毛がきれいになったなど、塩素と髪の毛も深い関係にあります。

髪の毛を傷める

水道水の塩素が髪のキューティクルを傷めていることは、実証されています。やはり髪のタンパク質が塩素の酸化力によって酸化することが原因です。

同時に髪の毛に含まれるメラニン色素も溶け出してしまうので、色が抜けて赤茶けてしまいます。

また、キューティクルが傷んでしまうと、髪の毛の内部の潤いが逃げてしまうことになり、パサパサと乾燥しやすく収まりの悪い毛になり、枝毛や切れ毛にもなりやすくなります。

抜け毛

塩素が抜け毛、薄毛の原因になるという意見もあります。どういうことかというと、塩素の酸化力によって、頭皮のタンパク質を傷つけ、頭皮に潤いをなくし乾燥させてしまいます。

その結果フケやかゆみも多くなり、頭皮環境は悪化し、抜け毛が増えて薄毛やハゲになりやすくなるのです。

しっかりと実証されたわけではありませんし、個人差もあることですので、そういう可能性もあるということです。

塩素による目への影響

塩素消毒されたプールから出た時に、目が赤く充血するというのはよく経験されたことでしょう。それを避けるためにも水中ではゴーグルを使いますよね。

塩素は目の表面を刺激するので、体質によっては充血やかゆみが引き起こされるのです。

プールの後水道水で目を洗うよう推奨されていた時期もありましたが、今では水で目を洗うと悪影響が出ることがわかっています。

目の表面は、外側から順に油層、涙層、ムチン層という層で覆われているのですが、水道水で目を洗うと、涙や水分をためて潤いを保ち、眼球を保護しているムチンを洗い流し、眼球に傷が付く可能性が高くなるからです。

慶応大教授の研究グループでは、塩素を含む水道水で目を洗うと、目の角膜上皮細胞が破壊される割合が高いことがわかりました。

ですので、プールの後は涙に近い性質を持った人工涙液でケアすると良いです。

塩素による喉への影響

水道水程度の塩素であれば、塩素による喉への影響はほぼないと考えられますが、たまに水道水を飲むと喉がイガイガする人がいるそうです。

こういう場合は、もしかしたら塩素アレルギーがあるかもしれません。塩素アレルギーの症状には、ひどい鼻づまり、くしゃみ、咳、皮膚の赤み、発疹、水膨れ、ただれなどがあります。

水道水の塩素では問題ないですが、除菌用の塩素など、もっと濃度の高い塩素を吸うことで、呼吸器の粘膜が傷つき、喘息等の呼吸疾患を悪化させる原因になることもあります。

水道水の塩素が高血圧・動脈硬化の原因になる?

水道水の塩素が高血圧の原因や動脈硬化の原因になるのか、という点について見てみましょう。

水道水の塩素が高血圧の原因

水道水中の塩素が血圧を上げようとする、その理由は、塩素にはアンジオテンシン転換酵素の働きを活発にして血圧を上げる効果があるためです。

水道水の塩素は高血圧の原因になりますが、体の中から塩素を除去するようにすると、体の機能として恒常性(ホメオクタシス)機能が働くようになり、血圧を下げるキニンという物質が放出され、高血圧から正常血圧になります。

水道水の塩素が動脈硬化の原因

次に、動脈硬化について見ていきましょう。

動脈硬化の原因はコレステロールだと一般に思われていますが、別の観点からの主張もあります。

最終的にコレステロールが血管を詰まらせるのに変わりはないのですが、コレステロールが動脈壁に付着する理由は、動脈壁に傷がつくことであるので、傷をつける原因となる、水道水の塩素には気をつけなければいけない、という主張です。

塩素は血管障害を引き起こし、心臓病や脳卒中の原因になるとも言われています。

また、アメリカのJ.M.プライス博士の著書には、

「動脈硬化とそれによる心臓の発病と発作の原因は、我々の飲み水の中にある至る所の塩素以外何者でもない。」「塩素が、アテローム性動脈硬化に起因する心臓発作や、脳血管障害の決定的な原因になっている」と、水道水の塩素と動脈硬化の関係を強調しています。

この主張を裏付ける証拠として、朝鮮戦争、ベトナム戦争で戦死した平均年齢22歳の米軍兵士のうち、75%がアテローム(退行性)動脈硬化症にかかっていたことがあげられます。

劣悪な戦場で飲む水には、衛生上の理由から大量の塩素が使用されていたことから、塩素は動脈硬化の原因であるということです。

水道水の塩素には発がん性があるって本当?

塩素消毒された水を飲むとガンの危険性が倍増するなどと言われています。水道水には水中の汚染物質と塩素が反応してできた化合物トリハロメタンが存在するからです。

トリハロメタンには、中枢機能低下、肝機能や腎機能への影響のほか、発がん性が疑われています。

しかし、水中の総トリハロメタン値は日本の水質基準では0.1mg/L以下、トリハロメタンのひとつであるクロロホルムの基準も0.06mg/Lと決められており、これは世界保健機構(WHO)の基準0.2mg/L(一生涯取り続けても体に影響のないレベル)よりもはるかに厳しい基準となっています。

妊娠中に水道水を飲むリスク

妊娠初期の妊婦がトリハロメタン濃度の高い水道水を大量に飲むと、流産する確率が高くなると言われています。平成10年、米カリフォルニア州健康局によって調査された結果です。

トリハロメタン濃度が0.075 mg/L以上の水を1日にコップ5杯以上飲んだ場合の流産率が、それ以下の含有量、飲用量より6.2%も多いということです。 

水道水は赤ちゃんにとって有害?

水道水の塩素は人体に影響はない程度に抑えられているので、赤ちゃんに飲ませても問題はないのだけれど、満1歳になる頃までは直接与えるのは念のためひかえた方がよい、と言われます。

というのも、赤ちゃんは内臓がデリケートなので、生水を飲むと下痢をすることもあるからです。そのため、一旦沸騰した水道水を湯冷ましとして与えたり、浄水器を通したものを使用すると安全です。

また、入浴時にも、赤ちゃんによってはアトピー性皮膚炎や喘息の原因にになる可能性もなくはないですので、塩素を除去したお湯を使うなど工夫するとよいでしょう。

赤ちゃんに対する水道水の影響に関しては「赤ちゃんに水道水はどう影響するのか、徹底的に調べました!」にて詳しくお伝えしています。

水道水の塩素は胃に悪いの、良いの?

水道水の残留塩素程度ならば、普通はそのまま飲んでも、胃酸によって塩化水素、つまり胃酸自体の主成分に変化してしまうので何ともありません。

ただ人によっては、水道水を飲むことで胃粘膜の破壊や消化力の低下を引き起こし、食物アレルギーの原因になることもあります。

また、体内で必要な乳酸菌などの菌まで死滅させてしまうことがあり、そうなると抵抗力が弱くなり空気中のダニやウィルス、有害な菌が体内に侵入しやすくなり、結果ニキビや肌荒れが起こりやすくなるのです。

水道水の塩素で虫歯や歯周病は予防できる

次亜塩素酸水と水道水を混ぜた水で口の中を洗うと(グチュグチュとうがいをする)虫歯菌や歯周病菌に効果を発揮し、虫歯や歯周病を予防することができます。

この次亜塩素酸水は、水道水に含まれている塩素、次亜塩素酸ナトリウムとは違います。

水酸化ナトリウム水溶液に塩素を加えたものが次亜塩素酸ナトリウムでアルカリ性であるのに対して、次亜塩素酸水は、次亜塩素酸に塩酸や食塩水を電気分解させて作ることができる液体で中性を示し、漂白効果はありません。

ただし、殺菌効果は高く、有機物と反応するとただの水に戻るため安全ですので、食品の殺菌にも適しています。ただし、やはりどちらも塩素臭がする点については同じです。

水道水で手洗い、うがいをするのは消毒の効果がある

先程の次亜塩素酸水は安全で、かつ殺菌効果があるということですから、手洗いやうがいにも大きな効果を得ることができます。

水道水は塩素が含まれてはいますが、浄水場での塩素消毒の結果残っている残留塩素であるため、それほど塩素濃度は高くなく、消毒効果も次亜塩素酸水よりは低いのですが、それでも消毒効果はあるとされています。

水道局では、全くうがいをしない場合と、水道水でうがいをする場合では40%も風邪の発症率が下がったとしています。手洗いも消毒効果があります。

水道水に含まれる、塩素以外の有害物質

水道水の有害物質の中には、13項目の除去対象物質(JIS試験方法)があります。

残留塩素・濁り・溶解性鉛・カビ臭の2-メチルイソボルネオール(2-MIB)・農薬のCAT・テトラクロロエチレン・トリクロロエチレン・1,1,1-トリクロロエタン・総トリハロメタン・クロロホルム・ブロモジクロロメタン・ジブロモクロロメタン・ブロモホルムの13項目です。

ここに定められていない有害物質としては、クリプトスポリジウムなどの原虫類、アスベストなどの無機化合物、水銀、砒素などの重金属や非金属、CAT以外の農薬類、塩素系化合物、化学物質などたくさんあります。

特に危険性の高い鉛

アメリカでは多くの家庭で鉛の水道管が使われています。日本では1987年に鉛の使用が禁止になりました。

鉛が腐食して水道水に溶け込み、その水道水を飲むと体に大きな影響を及ぼすからです。

腐食とは、金属がまわりの環境成分と反応して酸化消耗し、金属としての性能が低下し、使用に耐えなくなる現象のことです。

しかし、鉛の使用が禁止になって随分経つ今でも、約20%の家庭で鉛の水道管が使われ続けています。

鉛が体内に入ると、神経障害、知能低下、成長障害などの健康被害を与えることが知られています。

水道水の塩素と錆とは関係があるの?

水道水の塩素は、その強い酸化力によって殺菌作用を果たすと同時に、金属に対しては激しい腐食作用をもたらします。

ですから、実は塩素は水道管腐食の大きな要因にもなっているのです。1 mg/L程度の濃度で、炭素鋼やステンレス鋼の腐食が問題となることもあります。

新しい水道管の中には、内側を塩化ビニール樹脂でコーティングして、さびにくくしているものもありますが、現状に使われている水道管は金属製ですので、年月が経つと錆が発生してきてしまいます。

錆がついていると蛇口から赤水が出たり、知らず知らずの内に水道水から大量の鉄分を摂取している事も考えられます。

サビ臭のする水道水は美味しくないですし、体にもよくありませんので、配管の定期的なチェックは重要になってきます。

水道水の成分に関する情報は「水道水の成分は本当に安全ですか?」にてより詳しくお伝えしています。

水道水の塩素によるものへの影響

水道水は飲用だけに使われるものではありません。人間の体以外に対する水道水の影響にはどんなものがあるのか見てみましょう。

塩素は洗濯にどんな影響を与えるの?

水道水の塩素濃度は多くても1mg/L程度で、一般に脱色が起こるのは有効塩素10mg/L以上の場合ですので、水道水を使って洗濯をしても脱色しないのが普通です。

ただし、長時間水を足しながらすすぎを続けると、染料によっては脱色が起こることもあるようですので、手洗い時のすすぎは素早く済ませたほうがよいです。特に青色は脱色しやすいとも言われています。

また、何度も水道水での洗濯を繰りすと、気づかないうちに色落ちや洗濯物の柔軟性を奪っている場合もあります。

そして、水道水に錆が溶け出している場合には洗濯物がくすんだり、黄ばんだりすることもあります。

塩素入り水道水で洗車する時の注意点

洗車時の水の性質によっては、洗車後水滴をそのまま放置しておくと白く丸いシミができることがあります。水道水には塩素のほか、ミネラル分も含まれているためです。

長時間シミを放置しておくと取れなくなることもあるようです。対策としては弱酸性カーシャンプーを使用すると、ミネラル分も除去され、シミができにくいということです。

掃除に効果を発揮する塩素 

水道水に含まれる塩素は微量ですが、塩素は除菌剤、殺菌剤として、掃除にはなくてはならないものになっています。

他に、掃除によく使われるものには重曹とクエン酸があります。これらは、水道水が蒸発したあとに残るカルシウム分が固まった水垢や、ガラスやコップについたくもったようなカルキ汚れを除去するのにとても役立ちます。

水道水の塩素における料理への影響

水は料理にはとても必要なものです。調理する前にまず具材を水道水で洗いますが、この時すでに塩素の影響を受けてしまいます。

実は塩素消毒された水道水で果物や野菜を洗うと、野菜に含まれる約15~25%の栄養素(ビタミンやミネラル)を奪ってしまうという報告がされています。

しかし、野菜や果物についている雑菌等の除菌には水道水の塩素は効果的です。

水道水の塩素における炊飯の影響

炊飯においてはどうでしょう?

はじめにお米を研ぐ時点では、水道水でも蒸留水でも洗い流す行為自体は変わらないためビタミンBが60%減少したけれど、炊飯時には、水道水と蒸留水では違いが見られた、という実験結果があります。

炊飯時には、塩素の影響で水道水の方のみ、35%のビタミンB消失があり、蒸留水の方は減少しなかったというものです。

地域や人によっては水道水で炊いたご飯はカルキ臭くおいしくないという意見もあり、塩素除去した水を使う人も多いようです。

しかし、お茶(麦茶を除く緑茶・紅茶など)には、それ自体、塩素除去作用があるのであまり塩素の影響を受けません。

水道水の塩素における観賞魚への影響

そのままの水道水では金魚は数時間で死んでしまいます。それは、金魚のエラの細胞が塩素によって破壊されるためと言われています。

そのため、金魚を飼うための水槽の水は、汲み置きや中和をして塩素除去したものを使用しなければいけません。熱帯魚も同様ですが、メダカは比較的強いようです。

水草については、そのままの水道水でも大丈夫ですが、種類によっては塩素に弱いものもあるということです。

水道水の塩素における植物への影響

塩素は植物が成長するのに必要な要素ではありますが、芝生などに長期に渡って水道水をかけすぎると塩素枯れを起こすという事も言われています。

水耕栽培などする人の中には、汲み置きなどでカルキ抜きした水を使用するという人もいますから、塩素入り水道水が植物に多少は影響を与えているのかもしれませんが、一般的に植物にはあまり影響を与えません。

水道水の塩素における猫などペットへの影響 

ペットが飲む水として、水道水は問題ないです。

もし、ミネラルウォーターを与える場合は硬水ではなく軟水を与えたほうがよいようです。

水道水の塩素は沸騰したらどうなるの? 

この章では水道水の塩素は沸騰することで除去する方法などについてお伝えします。

塩素は煮沸して飛ばすことができる。

塩素は煮沸することで、気化され水道水中から除去することができます。煮沸する時のケトルの材質によって、塩素濃度の変化の仕方も変わるということも言われています。

何分沸騰させると塩素が抜けるのでしょう?

塩素濃度について言えば、沸騰時点でもともとの5分の1ぐらいの濃度になり、2分沸騰を続けるとほぼ全て抜けてしまいます。一度沸騰したお湯は、保存力もなくなってしまいますから、すぐに使い切らないと腐ってしまいます。

トリハロメタンも取り除くことができる

トリハロメタンは沸騰時に通常の2.3倍になりますが、その後沸かし続けると10分~20分でほぼ揮発され、取り除くことができます。

水道水を沸騰させた時にできる結晶

水道水を沸騰させた時にできる白い結晶をカルキだと思っている人が多いですが、それは水中のミネラル分であるカルシウムが固まったものです。

その他、水道水の塩素を沸騰させることで起こる変化については「水道水の塩素は沸騰させると除去できるって本当?」にてより詳しい情報をお伝えしています。

水道水の塩素を除去するその他の方法

汲み置き

水道水の塩素の抜き方で、一番手間のかからないのは、水道水を汲み置きをしておくことです。水槽用の水なら、太陽の光にあてて6時間ぐらい放置しておくと、自然に塩素を飛ばすことができます。

曇りや室内ならば、塩素が抜けるまで何日汲み置きすればよいでしょう?

水量によっても変わりますが、1日から3日ほどかかります。

飲み水なら、透明のペットボトルに入れ、日光の当たる所に何時間か置いておくと除去できます。

また、冷蔵庫に一晩置いておくと、自然に塩素除去され、冷たくておいしいお水が飲めるのでおすすめです。

中和剤を使用する

アトピー患者の中には、お風呂の水に塩素が入っていると症状が悪くなるという事がよく言われます。

そういう時には、中和用のビタミンCであるアスコルビン酸を少し混ぜるだけでカルキ抜きできます。

金魚や熱帯魚などの飼育用水槽の水にはハイポと言われる中和剤がよく使われます。

レモン、緑茶、炭でも水道水の塩素を消すことができる

飲料用なら、水道水にレモンや緑茶、炭などを入れることで塩素を除去できます。

風呂の塩素除去にはシャワーヘッド交換もよい

お風呂の湯船のお湯にはアスコルビン酸や中和できる入浴剤を使っても良いが、シャワーのお湯にはそういうわけにもいきません。にも関わらず、締め切ったシャワー室では塩素が濃縮され塩素濃度が高くなるとも言われています。

シャワー時の塩素除去対策として、シャワーヘッドを塩素除去できるタイプに交換するということがあげられます。

フィルターを通す

台所で使う水には、フィルターを通すという方法もあります。家庭用浄水器が出回っていますし、蛇口取り付けタイプでも食材の栄養素を奪わないため十分重宝すると言えます。浄水器のろ過のろ材には、活性炭の他にイオン交換樹脂もあります。

水道水の塩素除去に関する疑問

ここでは、塩素除去に関するいくつかの疑問についてみていきます。

水道水の塩素はクエン酸や重曹でも中和できるの?

水道水の塩素を中和するのにクエン酸や重曹は効果があるかという疑問ですが、クエン酸も重曹も還元力が低いため塩素中和には効果がありません。前述したアスコルビン酸が中和剤としては最適です。

水道水は氷にすると塩素抜きできるの?

凍らせた時点で塩素が抜けるというわけではなく、水道水の氷の中に塩素はまだ残っています。ただ、氷を溶かした時に、塩素の一部は気体となって抜け出てしまうので、当初の水道水よりは濃度が薄くなっています。

レモンで塩素は除去できたが、酢でもできるの?

レモンが塩素除去できる理由は、ビタミンCが含まれているからです。そのため、レモン以外にも、ビタミンCを多く含む果物ならばアセロラ、キウイなどでも塩素除去できるのです。ただ、酢にはビタミンCがありませんので酢では塩素除去できません。

エアレーションは効果があるの?

エアレーションとは、エアポンプなどの器具を使って、水中に空気を送り込むことで水中に空気を溶かしこむことです。塩素除去について言う時には、ペットボトルなどの容器に水を入れ、振ることで空気との接触を多くすることもエアレーションと呼んでいます。

水道水はもともと放置しておくだけでも塩素は抜けてしまいますが、エアレーションすることで少しはその効果を早めることができると言われています。

その他、水道水の塩素を除去させる方法については「水道水の塩素除去の方法と影響とは?」にてより詳しい情報をお伝えしています。

水道水の塩素は地域ごとに異なる

水道水の塩素濃度は地域ごと国ごとに異なります。主な地域の水道水の塩素濃度については、「水道水の塩素濃度って大丈夫なの?その答えとは?」にてお伝えしています。

水道水の塩素に関するまとめ

水道水の塩素を害のように思っている人々がとても多い世の中になっています。

しかし塩素があることで除菌が行われ安全な水道水になっていることも事実です。

実際に1991年ペルーでは、コレラが大流行して、130万人が感染、1万3千人が死亡しました。原因は水道水の塩素消毒を中止したためとも言われています。

もともと塩素消毒のシステムが整っていなかったとも言われていますが、どちらにしても水道水が十分に塩素消毒されていれば、これほど感染が広まることはありえませんでした。

水道水の塩素にはデメリットがあるのは事実ですが、うまく塩素を除去する方法もありますので、それらを利用して、上手に水道水を活用していければよいですよね。

この記事が水道水の塩素をよく知るための一助になれば嬉しいです。

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